家は「建てたら終わり」ではありません。上質で自分らしい住まいを存分に楽しみ、心豊かに暮らし続けたいものです。このコーナーでは、テラジマアーキテクツで家を建てた施主の皆さんに、自宅での毎日を彩るさまざまなアイデアをそれぞれの視点から紹介いただきます。
今回のプレゼンターは…
有田 美津子さん
繍墨画・日本刺繍家
江戸時代より続く刺繍商の叔父 秋元柳一郎に日本刺繍の手ほどきを受け、19才で叔父の亡き後を継ぐ。2003年、日本刺繍と日本画をコラボレーションした「繍墨画」という新しい画風を確立。 2004年、ドラマ「西遊記」(フジテレビ)で刺繍制作指導を行うほか、国内外での展覧会に多数作品を出品している。
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塗り物とふくさを合わせる
「ふくさ」というものを使用したことがありますか? 冠婚葬祭の際に、ご祝儀や御香典の金封を包む際に使う、という方はいらっしゃるかもしれませんね。ただ、ふくさの使用シーンはそれだけではありません。例えば茶席でもふくさは必需品です。お点前の方が茶器や茶杓を清める際に用いられ、客となって招かれた場合にも必ず持参し、お茶碗やそのほかの道具を拝見する際にも使用するものです。
今回は、お正月や成人式など、お祝いごとが続くこの時期にピッタリなふくさの使い方をご紹介したいと思います。それは縁起の良い柄の刺繍を施したふくさを、塗の盆と合わせて用いるという方法です。目にも華やかなあしらいが、新春のおめでたさを演出してくれます。また、お重にもふくさをかけることで、より趣が増しますよ。塗り物とふくさはお互いに古来からのもので、とても好相性。ぜひお試しいただきたい取り合わせです。
新春のおめでたさを宝尽くしの刺繍で表現
私はふくさをもっと日常で取り入れる暮らしをおすすめします。例えばハンドバックに忍ばせ、お菓子をいただく際に使ったり、食卓に出す塗りのお皿の上にちょっと掛けて飾ったりと、さまざまな用途が考えられます。ほかにも私は、突然お客様がいらした際に、読みかけの本などに掛ける目隠しとして使用しています。日常的にふくさを使用する際には、ふくさの色や、刺繍の柄で季節感を出すと、より素敵に演出することができます。
今回のふくさに施した刺繍は吉祥文様の「宝尽くし」。華やかでおめでたい文様であることから、お祝いの席などでは重宝し、喜ばれる柄です。新春の喜びを表現するには最適の柄だと思います。多様に使えるよう、両面に刺繍を施しました。折り方を変えると、刺繍の出方・見え方が変わります。ふくさは単に何かを包む用途だけでなく、心遣いや思いやりの意味も持っているものです。そこに刺繍を施すことで、より思いやる心や気持ちがありありと表れます。目にも楽しいふくさ、ぜひあなたの日常のシーンでもお役立てください。
エッセンス
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